「月」を見よ انظروا إلى ما يدل الواقع عليه

December 24, 2006 レバノンに滞在し、アラブ映画の研究を続けながらセント・ジョセフ大学で日本語講師を務める佐野光子さん(SFC研究所上席研究員)からメールをいただいた。そこには、親シリア派と反シリア派の抗争が、ついに家庭の中にまで持ち込まれて、…

飛び続ける鳥はいない

December 17, 2006 人間が自由を語るとき、鳥は欠かすことのできないメタファーである。♪この大空に翼を広げ飛んで生きたいよ〜を引き合いに出すまでもない。2次元の世界を例外的にしか離れることのできない人間にとって、3次元の世界を飛び回る鳥たちは、…

アッラーは被造物と相容れない〜中沢新一著『三位一体モデル』の印象〜

December 02, 2006 「『三位一体モデル』という本が売れているらしいですよ」と、大学院生のスライヤーさんが教えてくれた。著者の中沢新一氏は、関心領域に重なるところがあるし、彼の著作は授業などでも紹介したこともある。アマゾンの即配サービスで今届…

無限大のドット نقط لانهائية

June 10, 2006 唐突ではあるけれど、1−∞という計算について、答えを知りたくなった。無限大というのは、この場合人間の霊魂を表わし、「1」は1人の現実の人間を示す。1+∞=∞であることは、「無限ホテルに満員なし」というたとえで頭に入っていた。「1」…

6月はじめから最高気温40度!

June 08, 2006 夜中に、頸の周りの汗で起こされるというアレッポではあってはいけないことが起きてしまった。たしかにアレッポでの住まいは5階建ての建物の最上階。1階や地階とはそれなりの温度差があるのはわかる。しかし、東側の窓は締め切りで、南と西…

ユダヤ人とは、「悔悟して真理に戻る人々」である

May 30, 2006 アラビヤ語を訳していて時々思うことだが、ハンス・ウェアは収録の語数が多くて頼りがいのある辞書だけれど、それだけにそこに何かがあると、大きな誤解やすれ違いが生じてしまうと。遅ればせながら、それについて、ひとつ発見があったので、報…

種をまく努力

May 27, 2006 この時季、シリアでは学年末にあたる。2学期制で、学期末はもちろん中間試験も行わないこの国では、学年末の全国統一試験が、進級やら卒業やらのすべてを決める。直前の追い込みで、バナナさんのところのムハンマドも、マンスール先生のところ…

史上最悪の日

February 25, 2006 シーア派のアスカリ廟が焼かれるという前代未聞の事件がおきた。犯人は、過激派であろうが、テロリストであろうが、タクフィーリーユーんであろうが、イスラーム教徒であることはまず間違いはなかろう。イスラーム教徒がモスクに火を放つ…

ワズゥィーファとアマル الوظيفة والعمل

January 01, 2006 シリアが安全だということを説明するのに、シリアの人々はよく、夜中の3時に女性が子供づれで歩いていても安心な場所が世界のどこにあるかという。僕も、この説明はわかりやすいので、よく使ってきたが、夜中の3時という時間の意味自体が…

ワハミーなイード、ハキーキーなイード العيد الوهمي والعيد الحقيقي

January 01, 2006 西暦の2006年がやってきた。年越しの時間、アレッポの夜空には30分以上にわたって、新しい年を祝福する花火の音が鳴り響いた。国営テレビは、年越しの特別編成で、視聴者へのプレゼント当選者発表番組だったり、年越しのディスコ(=…

厳しい現実 وضعنا ليس بسيطا

December 07, 2005 靴をなくした話が挨拶代わりになった今日である。「日本からはるばる来ている大切な客の靴が盗まれるとは」と嘆くことはあっても、靴泥棒自体に驚く風は一切ない。どこのモスクで祈っていたかを聞いて、あそこは特に気をつけないとという…

全員無事です كلنا بخير الحمد لله

December 05, 2005 昨日、日本大使館から安否の確認が入っていると、センターで日本語の先生たちが、連絡網の連絡を行っていた。アルジャジーラでは伝えられた、アレッポ郊外での銃撃戦について、ここまでわかっていることを簡単にまとめておきたい。 シリア…

なくなった靴 حذائي مفقود 

December 05, 2005 アレッポに住むようになって、そろそろ2ヶ月を迎えようとしている。金曜の、そして普段の礼拝でいちばんよく利用しているのが、ホテルからいちばん近いところにあるアッバーラのモスクだ。日本でいえば、一昔前の秋葉原のような電気製品…

アルツハイマーの恐怖 خوفا من أرتهيمير؟؟

December 05, 2005 日本を出発する直前、物忘れのひどさに愕然としていた。さっき、記憶に刻んだはずのことを忘れている。やっておこうとしたこと、ふと思いついたこと、ものを置いた場所など気がつくと忘れてしまっていることが多くて、ひそかにアルツハイ…

自殺のない社会 المجتمع الخلي من الانتحار

December 03, 2005 希望を失わないとはなんとすばらしいことだろうか。2度にわたる携帯電話紛失事件から、そのことを教えてもらったような気がする。自分で勝手に決め付けて、諦めてしまうこと、きっとこれも一種の傲慢だ。そんな傲慢さに対する教訓が2度…

携帯電話 الهاتف المحمول

December 03, 2005 ここ数年、シリアへくると携帯電話を持つ。研修でくるときには、センターとの連絡用に持たされるといったニュアンスが強いが、今回の滞在では、より積極的に持っている。かつて、電話線を引いてある借家を探そうとすると本当に難しかった…

日本語スピーチコンテスト مسابقة الخطابة باللغة اليابانية

November 25, 2005 ここのところすっかり恒例になった在シリア日本大使館とシリアで日本語を教える先生たちの主催による「日本語スピーチコンテスト」のアレッポ予行練習会に参加した。朗読に3名、スピーチ(中級)に3名、スピーチ(上級)に2名の参加予…

アレッポで語られたミシマ الكاتب الياباني الشهير ميشيما مذكور في حلب

November 17, 2005 先日、文学部の授業のひとつに、招かれた出席した。アレッポ大学日本センターで日本語を学ぶ、というよりも、SFCのアラビヤ語研修でアラビヤ語の先生をお願いしている、修士課程の学生、ラーウィヤさんが、三島由紀夫を通して、日本文学を…

トリポリの床屋 الحلاق الطرابلسي

November 16, 2005 アレッポ研修に参加したことのある人ならおなじみのアブーナッワース。ここのところすっかりお世話になっている。今日のワジュベ(定食)は、仔牛のトマトシチュー風煮込み。マッシュルームのクリームスープにサラダ、白飯とともに頼んだ…

ベイルートにて بيروت

November 14, 2005 ベイルートに出かけてきた。ベイルートの名門、セントジョセフ大学に日本経営、経済講座を開講する話が具体化し、SFCからご登場願った花田先生に会い、今後についてセントジョセフ側の担当の先生方と打ち合わせを行うためだ。 それにして…

イスラームにおける人権 حقوق الإنسان في الإسلام

November 14, 2005 アルジャジーラの人気番組の一つに、「シャリーアと生活」がある。カラダーウィー氏が登場して、毎回異なるテーマでの講義と視聴者からの質問に答えるという1時間弱の番組である。昨日のテーマが「フクーク=ル=インサーン(人権)」で…

イードの初日にفي يوم أول عيد الفطر

November 05, 2005イードの初日は、人間の安全保障に関するシンポジウムにシリアから参加することになった。シンポジウムの当日がイードの初日にあったというほうが正確だ。ポリコムというテレビ会議用の機材で、三田のグローバル・セキュリティ・センター6…

エゴイズムな自動車 سيارات أنانية

November 05, 2005 今年のアレッポのラマダーンでおそらくはじめて経験したのが、自家用車による帰宅渋滞だ。僕がシリアにいたころには、まだ自家用車の数がそれほどでもなかったので、お目にかかったことはなかったのだ。一つの交差点の渋滞で、15分や20分…

イエメンのムハンマドさん・フィー・ハラブ السيد محمد من اليمن في حلب

November 05, 2005 ムハンマドという名前は、聖預言者の名前であることは、皆さんご承知の通り。したがって、イスラーム世界には、ほんとうにたくさんのムハンマドさんがいる。しかし、僕にとってムハンマドさんというとこの人。そう、2年前にASPで日本へ招…

貧困と貪欲 الفقر والبخل

October 29, 2005 今日は、急遽、カラム・ダアダアの奥に控える貧困地区カラム・アファンディーに出かけることになった。ムサアブ医師の車にオリーブオイルとお茶を積んで出発。今までと違うのは、今日は出かける前から、医院に見るからに貧しい人々が訪れ、…

ルーフ(霊)を養う

October 28, 2005 「アレッポのラマダーンでさぞ「霊的生活」を送られているのでは」というメールをイスラーム教徒の親しい友達からいただいた。「霊的生活」という言葉からは想像もつかない「霊的生活」を送らせてもらっているのが、今年のラマダーン月のア…

宗教で بالدين

October 23, 2005 今回もまたダマスカスから運転手つきレンタカーを借りてアレッポへ向かった。ラマダーン中の金曜日の午前中、ダマスカス空港からアレッポへの道は、本当に空いていた。途中、給油のためGSのよったもののいつもならホムスあたりでとる休憩…

アレッポは雨 الأمطار الشديدة في حلب وهي مصحوبة بالرعد

October 19, 2005 雷を伴う激しい雨。1日1日と雨の量が増えていく。今日で3日目。雨が海岸地方まで来ているとティシュリーンの1面で読んだのが3日前。その夜は、驟雨の中をアブー・ナッワースに出かけたけれど、今日は朝から断続的にかなり激しく降って…